「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の再改正に関する提言
はじめに
我が国における原子力行政は、3つの法律、「原子力基本法(基本法)」、「核原料物質、核 燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(炉規法)」及び「原子力規制委員会設置法(設置法)」 を骨格として実施されている。基本法は原子力平和利用の方法について、炉規法は主として 原子力安全の確保の方策について、そして設置法は規制組織とその運用について記述してい る。そして日常の規制行政において重要な役割を果たしているのは、設置法に規定されてい る“原子力規制委員会”である。ちなみに、原子力規制委員会(以下、規制委員会という) は2012年9月に発足して丸4年が経過している。
我が国の原子力は、3・11の福島第一原発事故を契機に旧民主党政権の行政措置と菅直人元首相らが設計した「原子力規制委員会」とその人事によって激変した。原子力の現状を思えば、特に、激変した原子力規制行政の実態を改善することが望まれている。現在の権限に基づき有無を言わせぬ“暗い規制行政”から脱却して、将来に向けて「明るく希望が持てる原子力行政」の実現に向けて一歩を踏み出すことが肝心で、そのためには、現在の法体系に欠けており充実することが望ましい事項について、総合的に考察・評価することが重要である。
これらの問題点を解決するには、規制行政執行に当たっての基本姿勢や基本的考え方を明 確にして、その解決に資する方策を模索する必要がある。原子力基本法は上位の法律である ため規制行政の改正にはなじまず、原子力規制委員会設置法は組織法であるため規制執行の 在り方の根幹に関わる改正には的をえた対象と成り難い。
これらを斟酌して、ここでは検討対象として「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制 に関する法律」を取り上げた。また、現行の改正“炉規法”自体が「十分な議論もなく短期 間の検討しか経ていない不出来なものだからだ」という指摘(読売“論点”2015/4/25)も改 正のための検討を後押しする。
(以下省略)
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