原子力国民会議について

設立趣意書

一般社団法人 原子力国民会議
-設立趣意書-
「新しい原子力を創る」

 福島第一原子力発電所の事故から、3年を経過しましたが、本格的な復興は緒についておらず、避難生活を余儀なくされている住民のご苦労は一向に軽減されていません。また、原発の再稼働も当初期待されていた状況には至っておらず、原子力規制委員会の不作為が目立ち始め、効果的な措置が望まれています。

「この国は原子力なくしては立ち行かぬ」という前首相の言明にあるように、エネルギーは私たちのあらゆる活動を支える基盤であり、経済活動の源です。しかしながら、福島第一原子力発電所の事故以降、老朽化した火力発電設備による綱渡り的な電力供給が続いており、エネルギー供給基盤がぜい弱化し国の経済発展の足かせとなっています。化石燃料の輸入増加による数兆円規模の国富の流出、電気料金値上げによる国民生活及び事業経営への圧迫、地球環境問題の解決の先延ばしなど、やがて取り返しがつかない状態に至る兆候が見られます。

平成26年4月11日に閣議決定された“エネルギー基本計画”は、前政権の経済性の視点を欠いた原発ゼロ政策を根本的に見直しており、原子力発電所を「重要なベースロード電源」と位置付けたことは、この3年間の原子力の混迷を思うと大きな前進であります。関係者はもとより国民に大きな希望と自信を与えます。

従って、このような“混迷”から早期に脱却し、本来あるべき“正常化”を実現することが喫緊の課題となってきます。加えて、一日も早い福島の環境の原状回復と避難住民の帰還が望まれますが、“望む”だけでは解決に至らないことも明白で、従来の手法を越えた何らかの建設的行動が必要です。

多くの国民は、原子力の復興は日本経済の再生の鍵であることを理解しております。残念ながら、この思いは事故の後遺症が大きいためか現実のものになっていません。それ故、国民一人一人がこのエネルギー問題を自らの問題として考え、断片的で情緒的な反原発情報に影響されないことが肝要です。そうすれば問題解決の可能性は大きく前進すると考えられます。それでは、解決に役立つ何らかの国民的理解活動を実践するにはどうしたら良いのでしょうか。

私たちが事故後の原子力推進の“象徴”として「原子力国民会議」を立ち上げた“思い”は、原子力の混迷から抜け出すために、国民の理解と協力を得つつ、今までとは異なった解決方策を見出し実践しながら、高い安全性、国民主体、国際展開を骨子とする「新しい原子力」を構築していくという目標の達成にあります。私たちは、これらのことを踏まえて「原子力を国民の手に取り戻す」ということを標語に掲げて、国民会議の旗の下、労働団体、商工団体、原子力有識者、一般市民の共同体と協働しながら活動していくことを決心しました。

この時忘れてはならないことは、原子力発電所による電力供給を支えてこられた発電所立地地域の方々の理解と貢献に対して認識を共有することです。生産側に立つ人々と消費側に立つ人々の連帯が今ほど必要な時はないと思われます。

原子力村人のレッテルを貼られた専門家達はこの3年間、事故から多くのことを学び、貴重な教訓を得て、深く反省しました。反原発の主張や機運についても十分に理解します。しかしながら、「事故の超克」という建設的な視点が今最も重要であります。事業者の安全性向上に払った努力は想像を絶しており、それらを踏まえれば、規制業務の一層速やかな措置は可能であり、日本経済を失速させないように原子力を活用することが現在最も重要な喫緊の課題であります。

「原子力国民会議」有志はこのような状況を踏まえ、この難局を乗り越える契機となることを願い、可能な限り毎年、全国各地で集会を開催し、原子力の推進方策に対する要望を多くの関係団体から集約して、関係機関に提出したいと考えています。

なお、「原子力国民会議」は団体のみから構成されることを申し添えておきます。

皆様のご理解を賜り、「新しい原子力」を創造するため、ご支援とご参加を心よりお願い申し上げる次第です。

「原子力国民会議」有志
(平成26年4月)

「原子力国民会議」の共同代表に、以下の方々が就任されます。

参考:「一般社団法人 原子力国民会議」の目的(定款に記載)
「一般社団法人 原子力国民会議」は「安全確保を前提に原子力の平和利用を世界規模で展開する」ことの重要性に鑑み、我が国産業界及び関係各界と協力しながら「原子力を国民の手に取り戻す」という目標の実現に努めるとともに、海外関連機関とも連携しながら、世界のエネルギー問題と地球温暖化問題の解決に貢献する活動を展開し、そのため、人々の原子力に対する理解の促進と原子力政策決定機関に対する要望を展開することを目的としています。

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