地域発展の起爆剤―高レベル放射性廃棄物の最終処分場 第 12 回 どうするの? 技術は安全ですか?(3)日本に適地はあるのですか(2)地震、断層の影響

日本は地震国でどこに処分しても安全は確保できないのではないか。日本列島は、活断層がいたるところにあり、地震が起こったら処分した廃棄物が壊れて放射性物質が地上に出てきてしまうのではないか。 これらの疑問をよく耳にしますが、地震の影響や断層を避けて地層処分が可能である場所が日本でも広く存在することを説明します。

地層処分での地震・断層の影響

地層処分で地震・断層の影響として考えられるのは、閉じ込め機能の喪失です。これは、地震や断層の活動により廃棄物やその周囲のバリア機能が破壊されたり、断層周辺の岩盤の透水性が変化し、地下水の流れが変わったりして放射性物質を閉じ込める 機能が損なわれ、人間の生活環境へ影響を及ぼすことです。したがって、このような影響のある場所は避ける必要があります。 この閉じ込め機能が喪失する可能性を考える場合、図1に示した地震の揺れの影響、断層のズレの影響および地下水の変動の影響の3つを考慮する必要があります。これらの事象について地下ではどのような特性があり、どのように影響を回避することができるかを示します。

 
図1 地層処分における地震・断層の影響 (NUMO2014年技術報告会)

日本における地震・断層活動

日本周辺で起こる地震は、断層運動によって起こり、第36号の火山の影響で解説したプレートの動きが断層活動にも関係しています。地震の発生する場所は、プレート境界で発生する地震、プレート内で発生する地震、内陸部の活断層を震源とする地震に大別されます。プレートの動きの傾向は過去数十万年にわたって変化がないことから将来10万年程度は地殻変動についても大きな変化がないと考えられます。この中で地層処分では特に内陸部の活断層の活動による影響を避ける必要があります。

地震の揺れの影響

地震の揺れによる影響は、一般に震源に近いほど揺れが大きいのですが、日本中で地震による揺れが感じられないところはありません。また、大きな地震の場合、広範囲で揺れが観測され、揺れの影響で大きな被害もでています。しかし、地震の揺れの影響は地下では小さくなることがわかっており、深度250m以深では地表の揺れの1/3~1/5になることが観測されています。これまでも、地上では大きな被害がでても地下では大きな変化がない例が多くあり、図2 に示した2004 年の中越地震の例では、地表部では被害があっても地下のトンネルは安定に保たれています。また、地層処分場は廃棄物を処分した後は坑道等も閉じて空間のまま残ることは無いので、地震の際も地下の岩盤と一体になって揺れるため廃棄物はそのままの状態で維持されます。

地表の被害とトンネル内の状況(地下は安定)

図2 2004年中越地震における旧山古志村木沢トンネルの地表部とトンネル内の状況 (土木学会、2005)

断層のズレの影響

断層活動によるズレの影響を見ますと、処分場で断層が活動しズレを引き起こすと廃棄物や周りのバリアが破壊され影響を受けます。したがって、このような断層がズレを引き起こす場所は避けて処分場を造る必要があります。日本における活断層の分布は図3 に示したように全国的に分布しており2,000以上の活断層があるといわれています。断層活動もプレートの運動と密接な関係があり、活断層は過去数十万年程度同じ場所で繰り返し活動しており、十万年程度の将来についても同じような場所で活動すると考えられます。したがって既存の活断層以外の場所で新たに断層が活動する可能性は小さいと言えます。また、断層活動が影響する範囲は、断層の長さの100 分の1 程度で、限定された範囲です(図4)。

 
図3 日本における活断層の分布(出典:活断層データベース(産業技術総合研究所)

図3 では日本中のかなりの部分に活断層があるように見えますが、実際は長さに比べて影響する範囲の幅は狭いことからこの図の線よりかなり細い線の範囲となり、多くの部分が断層のないエリアになります。現在確認されている活断層以外でも地上まで断層が達しないで地下に隠れた状態の断層もあります。そのために実際に処分場を選ぶときには、段階的に地下の状態を詳細に観測して地中の断層の有無を確認します。その手法としては地質調査のほかに、図5の例にあるような地形解析、トレンチ調査、物理探査、ボーリング調査等があり地下の状態を詳細に調べることで断層がないことを確認することができます。

 
図4 活断層の影響範囲(NUMO 説明資料)

 
図5 地下の断層を調べる技術

地下水の変化

地震、断層の影響としてもう一つ考えられることで地下水流動の変化があります。地震の影響で井戸が枯れたり、温泉が噴き出したりすることは時々耳にします。しかし、このような地下水の動きの変化も多くの場合数か月から数年で元に戻っており、その変動の範囲もある限定された範囲で、大きく地下水全体の流れが変わ ることはありません。活断層の周辺では断層活動で透水性が変化し地下水が流れやすくなったりしますが、その範囲も図4に示した破砕帯の部分で主に起こっており、その幅は狭い範囲に限定されています。 また、地下水がいつからその場所に留まっていたかを測定した結果、非常に古い地下水の存在が観測されており、このことは過去に地震や断層の活動があっても、地下水の動きに大きな変化がなく長期間にわたって滞留している場所があることを示しています。

地震・断層の影響の回避

国が取りまとめた科学的特性マップでは、断層活動に関する要件基準で、活断層に、破砕帯として断層長さの1/100 程度(断層両側合計)の幅を持たせた範囲が好ましくない特性を持つ 範囲として回避することが示されています。実際のサイト選定において段階的に詳しく調査する過程で地表には表れていない断層や破砕帯が検知されれば処分サイトから回避されます。さらに調査の過程で疑問や懸念が示されれば、それらに対して専門家等から明確な回答が示されなければサイトから回避されます。このような調査を踏まえ日本で地震、断層の影響がない処分サイトを特定することが十分に可能であると言えます。

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