原子力発電所40年運転期間制限問題に関する緊急提言
《緊急提言(要旨)》
平成24年の【原子炉等規制法】改正により、原子力発電所の運転期間が「40年」に制限され、1回に限り延長することが認められることとなった。
そもそも「40年」は設計評価を行う指標として設定した数値であり、原子力発電所の安全性と直接的に関係する数値ではない。しかも、30年を経過した時点から高経年化評価を行って経年変化を踏まえた安全性評価を行っている。また、国際的にも、十分な安全性評価を行って運転期間を延長している。
【原子炉等規制法】改正においても、「40年」の妥当性について十分に審議された結果ではないことは、国会審議の過程で明らかとなっており、そこでは、議論が不十分であることを認めた上で、規制委員会が発足してから40年問題について十分な議論が行われるべきとの見解が示されている。しかしながら、規制委員会は何ら技術的な検討を加えることなく、制度は国会が決めたからとして、単純に、運転期間(40年)と延長制限(延長は1回限り)を制度の前提として、運用を開始している。
しかも、以下のように、制度を改悪している。
- 延長認可の申請期間を運転期間満了前1年~1年3か月と限定。
- 運転期間満了時点で審査が終了していない場合,その帰責事由が事業者・規制当局のどちらにあるかを考慮することなく、自動的に運転期間が終了。
我々は、平成24年の法改正で導入されたバックフィット措置と、保安規定で定める保全計画があれば、原子力発電所の安全性は十分に担保できるものと考える。これらに加えて更に運転期間の制限を設けることは、【原子炉等規制法】の中で内部矛盾を起こしていると考えるが、運転期間を制限するのであれば、その更新審査の期間は十分に確保されるべきと考える。
上記の措置は、審査に時間的制約を加えるもので、百害あって一利無しと考える。
こうした審査期間の限定は、期限を理由とした拙速な審査を規制委員会から強要されることが危惧されるとともに、審査が遅延した場合に、安全性の当否にかかわらず、原子力発電所の運転停止を強要する一因ともなる。どちらにしても、安全審査を歪めるものであり、改善すべきものである。
既に、安全性を考慮されることなく、5基の原子力発電所の廃炉が決定された。不当な手続きにより、日本から原子力の火が消されることがないよう、延長認可手続きに関して以下の緊急提言を行う。
- 延長認可申請の審査期間を十分に確保するために、規制委員会見解の解釈を補足するか「法」改正を行う。
- 延長認可申請時期を早めるために、「規則」を改正する。
- 延長認可審査基準を延長に伴う劣化に関係するものに限定するために、「審査基準」を改正する。
(以下省略)
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