声明-「原子力規制」の改善を期待して-

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四 つ の 提 言

-「原子力規制委員会」のさらなる展開を期待して-

次の四つの提言を全国大会で承認し、対外的な声明文とし、政府に提出します。

提言1  原子力発電所の再稼働の促進を

原子力発電所の停止により、化石燃料調達のため巨額の国富が国外に流出し、国民と産業界は電気料金の値上げによって大きな損失を強いられました。経済性や地球温暖化防止の観点からも、原子力発電なしにはわが国は成り立っていきません。原子力発電の活用は緊急、最重要課題であり、政府は不退転の覚悟であらゆる手段を尽くして、再稼働を促進すべきであり、原子力規制委員会も適合性審査を加速すべきです。

提言2  将来のエネルギー確保にもんじゅ活用と核燃料サイクルの確立を

エネルギー資源の乏しいわが国のエネルギー安全保障にとって、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して利用する核燃料サイクルを確立し、更に消費した量以上の燃料を生み出す高速増殖炉を実用化することは、重要な目標です。単純な廃炉はこれまでの投資・実績を無にするもので、”もんじゅ”の活用と核燃料サイクル事業の推進を進めるべきです。

提言3  信頼される規制行政のために原子炉等規制法の改正を

原子力規制委員会の審査や検査において、運用規則や手続きに適正さを欠いている点が明らかになりました。規則や指針類の見直しが不可欠です。行政機関として守るべき行動規範(信義誠実の原則、比例原則など)、安全目標などを原子炉等規制法に盛り込む法改正を行うべきです。

提言4  原子力規制行政の刷新を

原子力規制委員会は発足以来、指針や規則類の整備が不十分なまま、規制行政を実施してきました。その結果、審査が済んだ原子炉は7基に過ぎません。発足して5年目を迎える来年には、規制行政の刷新を行い、安全で、安定した、安価な電力を国民に提供できる体制を整備すべきです。

提 言 の 理 由

 

-原子力発電所の再稼働の促進-

私たちは、原子力なくしてこの国は立ち行かない現実を直視しなければなりません。事故後5年を経ていながら、現在稼働中の原子炉は未だに3基であり、経産省の目標とする原子力比率20~22%とは程遠い状況にあります。申請中の26基の適合性審査がいつ終わるのか、全体計画が示されない状況は異常であり、政府は原子力規制委員会(以下規制委員会)の審査を加速させる手立てを講じるべきだと考えます。

規制委員会の発足後(2012/9)、北海道新聞(2013/4/30)に菅直人元首相の次の衝撃的な発言が掲載されました。「たとえ政権が代わっても、トントンと元に戻るかといえば、戻りません。10基も20基も再稼働するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会を作ったことです。」 規制委員会の設置の意図が脱原発だったとすれば、驚くべきことです。現状の原子力混迷の根源はここにあると捉えるべきでしょう。

原子力基本法は原子力の利用を基本方針としており、そのために原子力の安全性 を守りつつ、再稼働を促進することが、規制委員会に課せられた本来の使命です。

現在の原子力の混迷が、産業に悪影響を与え、国民負担を増大させている現状を思えば、今、原子力規制の在り方に有効な提言を行うことは、時宜を得た行動であると、我々は考えます。

 

将来のエネルギー確保にもんじゅ活用と核燃料サイクルの確立を

規制委員会の“もんじゅ勧告”は、将来展望は何も示さず、文科省に無理難題を押し付け、”もんじゅ”廃炉の引き金を引くものでした。規制委員会の“もんじゅ”に対する評価は、“もんじゅ”の安全性の本質には触れていません。

現在、政府の“高速炉開発会議”で“もんじゅ”の行く末について検討されていますが、“廃炉”か“活用”か、どちらを選択するにしても、資源の乏しい我が国の事情を踏まえ、激動するエネルギー国際環境に耐えられるよう、政策を立案して欲しいものです。この困難を脱するには、目先の対策と将来の対策がバランスよく構想されていることが望まれます。

重要な視点は「これまで国策に協力してきた立地地域の貢献を勘案して新しい将来に向けた政策を立案すること」ではないでしょうか。政府は、“もんじゅ”の活用と“核燃料サイクルの確立”に向け全力で取り組む姿勢を堅持すべきです。

 

-信頼される規制行政のために原子炉等規制法の改正を-

規制委員会発足から6ヶ月経過した時点で『原子力発電所の新規制施行に向けた基本的な方針(私案)』という法令化されていない審査指針が提案され、その後の適合性審査に決定的な影響を与えました。それは、以下に示すように非合理的な内容のものでした。

1.米国では、規制に対し大統領令で、バックフィット工事に先駆け「工事によってどれだけ安全性が高まるか」の評価(費用対効果)を実施することを命令していますが、我が国の規制委員会はこうした事前評価を無視しています。その結果、安全性向上のためとして膨大な工事が当然のごとく実施されました。事業者に大きな財政的な負担を強い、電気料金の値上げを招き、特に電力多消費産業を疲弊させました。私案が存在する限り、このような非合理的規制措置は継続し、安全効果の低い工事が継続することになり、国民負担は無用に増大していくでしょう。

2.IAEA(国際原子力機関)の基本安全原則でいう “Graded Approach(等級別扱い)”を無視して、商用炉と同じ規制を“もんじゅ”や“研究炉”に適用し、”もんじゅ”は廃炉へ、研究炉は開店休業、に追い込まれています。こうした道理を欠く規制は、早急に改められるべきです。特に、“もんじゅ勧告”は等級別扱いが無視された例だと言えます。

3.このような規制措置の根底には、“安全目標”を活用しようとしない規制委員会の姿勢があります。安全目標が活用されていれば、バックフィットの仕方は適正化され、事前評価は当然の作業になり、等級別扱いの導入にもつながり、”もんじゅ”問題は異なった様相を呈し、さらに活断層問題で科学的に偏った判断は生じなかったでしょう。適切な原子力規制を実現するために、 “安全目標”は判断基準として大いに活用されるべきです。

これらの、正常といえない規制行政をもたらしている主たる原因は、先の私案にあります。

また、この私案では、原発の安全性の説明責任は事業者にあるとし、規制委員会にはないとしています。それならば、規制委員会は自らの存在意義を自ら否定していることにならないでしょうか。規制委員会の記者会見では適合性審査に合格した原発は安全であるという判断をしないばかりか、『(新規制基準に適合した原発であっても)安全とはいわない』と度々説明されています。これは、安倍政権の『(規制委によって)安全が確認されたものから順次再稼動する』という方針を空洞化し、原発の運転差し止め訴訟をめぐる司法の審議においても大きな誤解をもたらしており、無用な混乱を招いています。

我々は、不適切な現在の規制行政の根源は「私案」にあり、今後、それを改善していく法的措置について検討しなければならないと考えます。

 

-原子力規制行政の刷新を-

我々は、規制委員会が規制措置や規則類を見直すことによって、原子力の正常化が効果的に実現されることを期待します。そのため、これまでの規制行政を“第一フェーズ”とし、来年9月以降5年間を“第二フェーズ”として位置づけることを提案します。

福島事故後、異常な混乱をきたしていたとき、規制委員会は重要な役割を果たしました。しかしながら、冒頭に述べた事態を思えば、現在の規制委員会は改善すべき課題を抱えていると言えます。これを解決する方策として、 “段階的進展-フェーズ制”を提案します。

すなわち、規制委員会の更なる展開を遂げるため、新たな規制委員会・規制庁の下、原子力規制の“第二フェーズ”が実現されることを要請します。そこでは、第一フェーズで残された課題が、改善されることを望みます。

 我々は、ここに、声を大にして政府と国民に対し、提言の実現を呼びかけます。

2016年12月1日

賛同団体

KAKKIN
エネルギー問題に発言する会
日本保全学会
IOJ(日本の将来を考える会)
EEE会議
シニア・ネットワーク連絡会
日本硝子製品工業会
原子力産業と地域・産業振興を考える会
福井県原子力平和利用協議会
青森地域エネルギー施設立地商工団体協議会
—-(以下依頼中)—-
日本原子力学会
日本鋳造協会
福岡県郷友連盟
日本原子力文化財団

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